ニューヨークカメラマン日記 Season3 Volume7

■トランプ支持者ってどんな人？

就任以来、その強烈な個性で連日ニュースを提供している、アメリカのトランプ大統領。
私はニューヨークに赴任して以来、裁判や大統領選、そして就任式と、これまで多くの現場でトランプ大統領やその周辺を取材してきましたが、そこで出会った彼の支持者もまた、個性的な人が多くいました。
今回、戦後80年特番の企画で、「トランプ大統領を支持する若者」を取材することに。
粘り強い交渉の末、トランプ支持者の若者が集まるパーティーの取材に成功しました。

薄暗いパーティー会場

■新しい出逢いのかたち⁈トランプ支持者の集まるパーティーに潜入！!

マンハッタンにあるパーティー会場内は薄暗く、赤や紫の妖艶なライトに照らされていました。
想定よりも暗い現場だったため、カメラの明るさ自動調整の感度を上げたり、参加者に違和感を与えない照明の明るさを確認したりするなど、パーティーの開始まで準備を進めました。
すっかり日も暮れた夜８時、パーティー開始の時間となりましたが、参加者はほとんど集まっていません。
アメリカでは、パーティーに遅れてくるのがあたりまえで、会場が賑わってきたのは、開始から１時間がたってからでした。
会場内を埋め尽くすのは、ドレスアップした若い男女で、みんなそれぞれ会話やお酒を楽しんでいます。
このパーティーのコンセプトは、「MAKE AMERICA HOT AGAIN(アメリカを再びホットに！)」。
これはトランプ大統領の熱狂的な支持層を指す、「MAGA(Make America Great Again)」になぞらえて、若いトランプ支持者で集まって、ホットな関係を築こうというものだそうです。
つまりこのパーティーは、トランプ支持者どうしで人脈を広げたりパートナーを見つけたりするパーティーということでした。

暗い現場のため、記者の手持ちカメラをしっかりと設定しました

みんな会話を楽しんで盛り上がっていました

■政治的信念で結ばれる縁

夜も深くなるにつれて、パーティーは大盛況となり、意気投合して別の場所に移動する人々も見られました。
どの政党を支持するのかということを友人やパートナー選びの基準にするという感覚は、日本ではあまりなじみのないことかと思いますが、政治に対する関心の高いアメリカでは、とても重要な要素となるようです。
参加者に話を聞いてみると、「保守派の若者で集まることのできるこのパーティーにとても興奮している」という意見が多く聞かれました。
裏を返せば、友人やパートナー探しに政治的信念が関与するということは、トランプ支持者にとってはデメリットでもあるようで、取材を進めていくにつれて、ニューヨークでこのパーティーが開催されている意味を知ることができました。
 

途中でパーティー会場から出ていく二人

■リベラルの街、ニューヨーク

昨年の大統領選で勝利を収めたトランプ大統領ですが、すべての国民から信任を得たわけではありません。
特にニューヨークは、民主党の支持者が多いリベラルの街として知られていて、トランプ大統領を支持する人は少数となっています。
そんな街で開かれたMAHAパーティーの取材中、参加者の多くはカメラの存在に気付くと、顔を隠し、インタビューに答えてくれる人もあまりいませんでした。カメラを向けずに話を聞いてみると、リベラルの街で少数派の彼らは、トランプ支持者だということが他の人に知られると、「生きていけない」「会社をクビになってしまう」などと話し、ニューヨークでの生きづらさを感じているようでした。
パーティーの主催者は、多くのトランプ支持者がニューヨークのような街でトランプ大統領について話すことを恐れていると言い、この街の中で若い支持者達が集まり、盛り上がることのできるMAHAパーティーの意義を強調していました。

トランプ支持者だとわかることを怖がり、カメラに背を向ける人も多くいました

パーティーの主催者ラクエルさん

■分断を深めるアメリカ

今回、戦後８０年特番の企画でトランプ支持者の若者のパーティーを取材すると、そこにもアメリカの分断の現場がありました。
政治的信念が違う相手とは、友人やパートナーとして関係を築くことができないという、考え方にも驚きましたし、トランプ大統領についてニューヨークの中では話題に出すのも憚られるという支持者の声もありました。
アメリカ各地でデモや衝突が起きている現状もあり、引き続き取材していきたいと思います。

取材中の筆者

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