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二の池ヒュッテ再開! 山岳班「山の日特番」中継の裏側

2018.08.29 制作技術

「山の日」は今年で3回目となる日本の祝日。
日本テレビ報道山岳班では、毎年8月11日の「山の日」に合わせて様々な山の上から生中継を行っています。一昨年の八ヶ岳、昨年の槍ヶ岳に続き、3回目となる今年は木曽の御嶽山(おんたけさん)が中継の舞台となりました。今回は報道中継TDである筆者が、中継の裏側をリポートします。

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御嶽山(おんたけさん)は、長野県と岐阜県にまたがる標高3,067mの火山。2014年9月に7年ぶりに噴火し、山頂付近にいた登山客が巻き込まれる事態となりました。それから4年経った2018年8月現在も火口から1kmは規制区域として設定されていますが、9月末には規制解除が予定されています。
また噴火災害後は休業していた山小屋「二の池新館」が、別オーナーへ譲渡リニューアルされ、今年の山の日に「二の池ヒュッテ」として営業を再開することになりました。そこで報道山岳班は、御嶽山の現状や山小屋の営業再開の様子を生中継しました。

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厳選された中継機材 ひとり約20kgの機材を背負って登山

山岳から生中継を行う場合、取材とは違い機材がとても多くなります。それらの中継機材は登山用ザックに入れて、すべてを人力で山の上まで上げなければなりません。そのため、使用する中継機材は「小さく・軽く」することが重要です。必要最低限の機材で、かつ機材の故障に対応できるようにプランニングと機材選定をしなくてはなりません。今回は10人で登山したのですが、それぞれが約20kgの荷物を背負っていくことになりました。

中継当日は朝6時に登山を開始し、お昼ごろ無事に山頂付近の山小屋「二の池ヒュッテ」に到着。
一息したら、中継準備開始です。山の上では場所によって携帯電話の電波が届かないところや、天候によっては電源が使用できないなど様々な制約がありますので、最悪のことも考えながら山小屋とテントの中で中継ベースを設営しました。山の天気は変わりやすいので、常に雨が降ることを前提に機材を守らなければなりません。

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休憩中は晴れ間だったのに数分で雲いっぱいに・・・
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中継ベースは山小屋やテントの中など様々 使いやすくセッティングするのも我々の仕事です

今回の中継では、地元のテレビ信州さんに協力していただき山の上からテレビ信州さんの中継車に電波を発射、映像と音声の電波を受信した中継車から再び衛星に向けて発射、そして衛星からの電波を汐留日本テレビで受信するという経路で放送しました。このように、関東以外で中継する際は系列ネット局さんに協力してもらうことがあります。

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山の上から、雲の向こうの中継車へ電波発射
無線で中継車と連絡を取りアンテナの方向調整
雲の先の山頂から出る電波を中継車で受信
その後衛星経由で東京へ伝送!

中継回線を構築できたら、次は現場でのリハーサルです。
山の日中継では報道のドローン班が同行し、生のドローンの映像を見せるのが毎年の目玉です。ドローン飛行は天候に非常に大きく左右されるため、天気の変わりやすい山の上では放送直前まで飛行の可否がわかりません。万が一放送時にドローンが飛行できなかった場合に備えて、天気のいい時に事前に映像を収録しておきます。
山の日の本番は放送5分前に青空が見えて絶好のドローン中継チャンスだったのですが、放送開始時には再び曇り始めてしまいました・・・ 
しかし、生のドローンの映像はなんとか無事にオンエアすることが出来ました。
山の日中継は天候に恵まれないことが多く、生ドローンは貴重なのです!

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天候が良いタイミングを逃さずに
取材・中継をするドローン班
曇り空の中、無事に生ドローン映像を
オンエアすることに成功

中継現場は様々ありますが、今回の山中継のように機材量を制限しないといけない現場もあります。
少ない機材で立てた中継プランでセッティングし生中継、スタッフと協力して無事に中継を終えたときには強い達成感を得られます。
ただ中継前に機材トラブルが起きるなど、今回の中継が完璧だったかというとそうではありませんが、トラブルを経験して技術者として確実にスキルアップしたと感じています。
これからも様々な現場を通じて技術者として成長し続けます!!!

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筆者