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伝統をスケール感抜群の4K-HDR映像で伝える!

2018.08.27 制作技術

今回グループ会社の日テレ アックスオンからの依頼で、新技術に積極的な株式会社 福島中央テレビ(本社:福島県郡山市。以下FCTと表記)が取り組む福島の伝統行事である「相馬野馬追」を4K-HDR撮影し、1時間番組にする技術協力を行いました。筆者は4K映像ファイルを撮影から完パケまでトータルで管理するDIT(Digital Imaging Technician)として参加してきました。
相馬野馬追」は国の重要無形民俗文化財で、この地を治めた相馬氏の祖である平将門が、原野に放してあった野馬を捕らえる軍事訓練と、捕らえた馬を神前に奉納したことに由来します。相馬野馬追は一千余年の歴史を誇り、史跡中村城跡での総大将の出陣式を皮切りに、約500余騎の騎馬武者が戦国時代絵巻を繰りひろげます。(相馬市ホームページより)

今回撮影に使用したカメラは、SONY PXW-Z450が2台、PXW-Z150、HXR-NX80、GoPro、ドローンが各1台の都合6台。それぞれのカメラの特徴を生かした配置をし撮影に臨みました。またカメラ内でオフラインファイルを生成できる機種は、その機能をフルに活用しています。

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メイン会場の相馬野馬追祭場地 白鉢巻に野袴・陣羽織での宵乗り競馬

通常DITは予め撮影からポスプロフィニッシングまでを、問題が起きないよう、かつ予算、制作期間、クオリティ等をクライアントの要望に合わせて効率よく行えるようトータルプランニングと指示をするのが業務ですが、今回筆者は既に撮影がある程度行われてから途中参加のため、作業としては可能な限りのカメラ画質の統一、撮影されたファイル(クリップ)のコピー、オフライン用ファイルの作成などとなりました。

編集作業の流れとしては、福島のFCTでオフライン編集を行い、その後NiTRo SHIBUYAにてオンライン編集を行う予定のため、現場で撮影された4Kデータは本命と予備のHDD2台にコピー、さらにオフライン用2Kデータをオフライン用HDDにコピーしました。4Kデータのみしか無いものは現地にて4Kデータから2Kデータを作成し保存。収録後の4K本命データは東京へ持ち帰り、4K予備データと2KデータはFCTへ渡しました。

上記の作業を限られた時間の中で速やかに行うため、収録現場に近い場所にDIT基地を用意してもらい、続々と運び込まれるデータのコピー・変換を行いました。

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DIT基地 オフラインファイル作成中のPC画面

通常NiTRoではこのような作業はNiTRo SHIBUYA内のラボで行っていますが、今回は収録現場で行わなければならないので、写真のように臨時にノートPCを5台用意し、必要なアプリケーションを積み込んで臨みました。
筆者もDITと名乗りながらもどちらかといえば撮影の方に軸足を置いており、このようなデータコピーなどのアプリケーションを熟知しているわけではありませんので、事前にラボの専門家に手ほどきを受けて当日を迎えたので内心はちょっとドキドキでした(笑)。
結果、色々なシチュエーションを想定し複数のアプリケーションを用意しておいたので、多少の紆余曲折はあれどもとても上手くいきました。
実はやろうと思えばまだまだ作業が沢山あり、例えば今回使用したカメラの中に民生機もあり、それで作成されたクリップ名がロールを跨いで同じになってしまうのです。これではオフラインデータを元にオンライン編集をする際に不具合が出てしまいますので、現地でクリップ名を変更したかったのですが、時間が足りず断念した次第です。

3泊4日の福島遠征は、結構多忙でしたがとても満足感を得られたお仕事でした。
日本の伝統を迫力とスケール感抜群の4K-HDR映像で視聴者の方に伝え残すお手伝いができたのも良かったと実感しています。なお、2K-SDRに仕立てたものを福島ローカルの地上波で放送予定となっています。
今後もこのように前向きで世の中のお役に立てるような仕事を続けていければと思います。

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筆者