2017年の24時間テレビも多くの視聴者に注目され無事終了しました。
今年の24時間テレビでは、私は槍ヶ岳登山中継に技術スタッフとして参加しました。
槍ヶ岳は長野県と岐阜県にまたがる北アルプスにある日本で5番目に高い山で、天に槍を衝く形から「日本のマッターホルン」とも言われています。
これまでNiTRoスタッフはキリマンジャロ、富士山、屋久島など、様々な山から中継してきましたが、今回はさらに大変な中継になりそうな予感はしていました・・。
今回登頂にチャレンジしたのは義足の少女、江口舞さん(舞ちゃん)とイモトアヤコさん。スタッフは制作と技術を合わせて総勢およそ40名。その2日間に及んだ標高3,180mの槍ヶ岳中継をリポートします。
■ 8月26日(土)
登山の朝は早く、この日は「ズームイン!!サタデー」での中継でこのチャレンジがスタートしました。この中継は上高地から中継車を使用して行います。
あいにくの土砂降りの中、朝6時過ぎに舞ちゃん、イモトさんがスタートを切りました。ほとんどのスタッフも中継終了後同じようにスタートしましたが、大雨でいきなり出鼻をくじかれたような出足となりました。
標高約1,500mの上高地から森の中の林道を数キロ歩き、明神地区に到着するころにはすっかり雨も止みました。この先は梓川の沢に沿って徳沢地区、横尾地区と順調に撮影、中継をしながら通過していきます。
ここまでで既に6時間近く経過。本日のゴールである標高1,820mの槍沢ロッヂまではもう少し。休憩を取り、お昼のカレーをイモトさんたちと一緒に頂きました。
15時30分からの事前番組に向けて、一部のスタッフは槍沢ロッヂに先行して中継のスタンバイを始めます。舞ちゃんの頑張りに加えてイモトさんのサポートもあり、予定通り14時30分くらいには槍沢ロッヂに到着。
上高地の中心地にある「河童橋」 晴れているとこんな感じの景色を見ることができます。 きれいですね。 |
槍沢ロッヂ 26日(土)の中継場所です。 |
登山客の迷惑にならないように配慮しながら、槍沢ロッヂから「24時間テレビ事前」「満天★青空レストラン」、そして「24時間テレビ」の中継を行いました。これから以降の中継は全て槍ヶ岳山頂の南側下、標高3,080 mにある槍ヶ岳山荘に電波を発射し、そこで受信した映像・音声を山荘に設置したスイッチャー・ミキサーで加工して使用します。
その映像・音声はテレビ信州の電波塔でもある美ヶ原送信所経由で日本テレビの放送センターに届く仕組みとなっています。
槍沢ロッヂで使用した機材は約100kg。 もちろん背負子で運んできました。 |
槍ヶ岳山荘(標高3,080m) この中継のベース基地。 |
山荘に設置したアンテナ | 山荘仮設サブコン |
■ 8月27日(日)
この日はさらに早く朝5時30分、槍沢ロッヂをスタートしていよいよ槍の頂上を目指して中継を行いました。ここからは本格的な登山となります。
たくさんの機材をリュック、背負子で運搬しながらの中継はとても大変なことですが、中継スケジュールを踏まえ、制作スタッフと共有しながら時間を管理しつつ、舞ちゃん、イモトさんの頑張りや槍ヶ岳の絶景を映像、音声で伝えていきます。もちろん一般の登山客への配慮も忘れずに中継することが大切です。
そしてカメラ、音声、カメラアシスタント、送信マンの4名のクルーの2班で撮影し、山頂を目指します。
撮影クルー カメラ、音声、カメラアシスタント、送信マン |
■ 頂上にチャレンジ
山荘カメラ |
14時30分、槍ヶ岳山荘到着。いよいよここから槍ヶ岳の頂上にチャレンジ。こちらには絶景を撮影するためのカメラがあり、山頂の位置関係がはっきり見えます。
そして16時、イモトさんのサポート、登山客の温かい声援や協力で、舞ちゃんが登頂に成功し、無事中継することができました。今回は予想通り大変な中継となりましたが、出演者、制作、技術が一体となり、これまでにない感動を伝えることができたのではと思います。
さらに自分自身も成長でき、貴重な経験をすることができました。「大雨の中での電波テスト」、「雪の上を歩いての登山」、それにアイゼンなんて初めて履きました。次回はどこの山をチャレンジするのか? 楽しみです。
最後にスタッフが撮影した絶景などを一部紹介します。
下山の様子 下山も一列。登山客の配慮は忘れていません。 |
食事風景 |
雪のテスト |
筆者 (映像プラン、アタック隊TD) |