ニュース

「見知らぬ誰かに捧げる丁寧な活動」 九州北部豪雨取材続報

2017.07.20 制作技術

kyusyu_170720_1x.jpg

7月5日(水)に九州北部で発生した豪雨災害。
私は災害発生から5日経った9日(日)に、交代の災害取材クルーとして福岡空港から車で現地に入りました。
交代のクルーは、災害が発生してすぐに現地に入った初動のクルーとは求められる取材体制も内容も違います。発生直後は被災状況の取材が中心ですが、その後は被災地の今を伝えるために、人に寄り添った取材になっていきます。
news every.の藤井キャスター、ディレクター、技術スタッフ全員で、『被災者のために現状を伝える取材をしよう』と話合い、取材をはじめました。

初動で現地に入ったクルーから情報を貰い、取材体制を決め、万全の準備をしていきました。
「機材は何が必要なのか」「安定した通信環境は確保できるのか」、そして何よりも安全に取材するために大事な注意点の確認は欠かせません。

災害の現場には九州のNNN系列のテレビ局をはじめ、各地から取材クルーが応援に集まり、NNN取材団を結成しました。取材団では情報や映像の共有はもちろんのこと、日本テレビが福岡放送の中継車を使用して中継を行うなど、テレビ局の垣根を越えた取材体制で全国に現状を伝えました。

事前に被害状況の映像を見ていても、詳細な情報を聞いていても、災害現場を目の当たりにすると言葉を失ってしまいます。
乾いた泥が砂埃となって舞い、いたるところで重機が木材の撤去作業にあたっていました。炎天下の中、自衛隊、消防、警察をはじめ、多くの方々が必死に作業していた姿は忘れられません。

私たちは捜索や復旧の妨げになることはできない。それでも被災地の今の状況を伝えたい。多くの機材を抱え、安全に取材ができるところまで進み取材させて頂きました。
午前中に収録した映像を持って通信環境が安定する場所まで戻り、その日の午後には東京へ伝送。
それと並行して、夕方の中継のために安定して中継できるポイントを探し、何回もテストを繰り返しました。

kyusyu_170720_2x.jpg災害現場では通信状況が不安定で、携帯電話が繋がらない場所も多くありますが、そのような場所での中継では映像が乱れたり、音声が途切れたりしますので、細心の注意を払いながら、少しでも視聴者の方々に伝わる中継場所を時間ギリギリまで検討しました。


災害発生当初は身の危険にさらされ、情報もなく明日のこともわからない不安な日々が続いていたようですが、我々が取材を始めた頃には、安全も確保され、物資も徐々に届くようになっていました。
それでも再建への見通しがたたない新たな不安の日々が続きます。

1週間取材をしたnews every.の藤井キャスターの言葉...『見知らぬ誰かに捧げる丁寧な活動』
報道の仕事として、被災地で出来ることを考えさせられる取材になりました。

kyusyu_170720_3y.jpg










筆者