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異動3日で...九州北部豪雨取材

2017.07.19 制作技術

■ 初動
7月5日(水)17時半頃、突如報道フロアが騒がしくなり、福岡の豪雨について速報が流れた。18時のnews every.では現場での激しい雨が中継で映し出された。デスクに呼ばれ... 急遽、九州へ出張命令となった。報道の現場ではいつ事件、事故が発生するかわからない。
豪雨のため南の大分空港から北上することになり、その日20時前には羽田空港を飛び立っていた。
「安全第一、絶対無理をしない。」自分に言い聞かせ九州へ。
途中、何人もの方が心配して連絡を下さった。

■ 異動直後
実は、私は人事異動により、カメラマンとして復帰後わずか3日目の出来事だった。
それまでは国際部デジタルコンテンツという部署におよそ1年半所属しており、素材や中継のコーディネーション業務を行う仕事をしていた。同じ報道局とはいえ、素材を本社で受けるのとは違う、久々の取材現場、それも災害現場... とても緊張していた。

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■ 現場
23時過ぎに何とか大分へ到着。OAを見ながら、おおよその現状を確認して、翌日の打ち合わせ。
翌日は早朝から動きだした。安全確保のため、情報収集は欠かせない。先ずはスマホで天気レーダーを注視しつつ、最初の現場である大分県日田市に2時間かけて到着。そこで初めて九州北部豪雨の惨状を目の当たりにした。花月川に架かるJR久大線の鉄橋が流されていた。レールはぐにゃりと曲がり、橋桁は流され、倒されたコンクリートの橋脚が川の流れの激しさを物語っていた。

驚愕の感情はすぐに捨て去り、まずは中継の準備にとりかかる。
今回の中継のために、簡易IP中継機でキャリアの異なるWi-Fi、携帯電話の他、衛星携帯、動画も送信可能な衛星通信機を持参していた。どんなに映像を撮っても、それを送る手段がなければテレビとしては意味がない。通信状況の把握はいかなる状況下でもマストだ。幸いネット回線には問題がなかったため、簡易IP中継器を使用した。受信やコーディネーションは、つい先日まで一緒に仕事をしていたスタッフ達。電話からの声が頼もしく安堵した。無事に昼ニュース、ヒルナンデス、ミヤネ屋までの中継を行う。
ネット局さんのSNG中継車が到着したのは16時。その後の中継は中継班に引き継ぎ、NEWS ZERO向けに、日没後の映像をPC伝送し、その日の取材を終える。

3日目と4日目には中継はなかったものの、素材は全てPC伝送した。土砂崩れ、浸水した家屋、被災者の人々。それぞれの現場で、安全だけではなく、言動にも注意しながら慎重に取材をすすめた。4日目の取材終了後、初動の我々は一旦撤収となった。翌日からは交代のクルーが現場に入る。

■ 現在
九州北部豪雨、7月18日現在で死者は34人、行方不明者7人。
警察・消防・自衛隊の3000人規模による捜索は今も行われ、報道取材はまだ続いている。

kyusyu_170719_2.JPG 筆者