3月中旬、冬の肌寒さもようやく衰えはじめ、風の快さから日増しに春の訪れを感じる季節となりました。2016年度NiTRo新入社員8名で毎月お届けしてきました、新入社員現場リポートも最終回となりました。最後となる第8回のバトンを受け取りましたのは、私、カメラ志望の金子です。
私達が中継・スタジオ技術部に配属され、報道スタジオでの勤務となってから早8か月が経とうとしており、報道フロアのスタジオ更新工事もついに終了間近となってきました。「日テレNEWS 24」を放送していたNEWS2サブ、スタジオ、マスターには新しい機材が立ち並んでおり、新しい運用のスタートに向けて、準備が本格化しています。現在の仮設スタジオでの運用も残りわずかですが、最後の最後まで気を引き締めて業務に当たります!
■報道の現場に欠かせない「情報カメラ」
この8か月間、報道業務に携わる中で、多くの場面で目にしてきたものに「情報カメラ」があります。「情報カメラ」とは、様々な場所に常時設置されているカメラのことで、日本テレビよりリモート操作ができるカメラです。情報カメラは用途によっていくつかの種類に分けられますが、その一つに渋谷、浅草、横浜、江ノ島、成田空港、東京スカイツリー、...などなど多くの場所に設置されている、「お天気カメラ」と呼ばれるものがあります。このお天気カメラで屋外の気象状態を撮影し放送することによって、現在の気象情報を実際に目で見て分かりやすく伝えることが出来ます。お天気カメラには季節によって移動のできるカメラもあり、冬はスキー場、春は桜の名所などに...また、火事や飛行機の離発着なども撮影します。情報カメラには「東京証券取引所」や報道各社の記者が詰めている「国会記者会館や記者クラブ」などの屋内に設置されているものもあります。これにより、瞬時に現場との中継が行えるので、常に変化する情報をいち早く報道することができるようになっています。 日テレNEWS24では、通常の30分のニュース中での気象コーナーや「マーケットナビ」、「国会リポート」などのコーナーで情報カメラが使用されています。
また、海岸線を撮影できるカメラは、視聴者に避難を促すのに必要不可欠です。私は実際に地震が起き、津波警報・注意報も発令された時に業務に当たったことがあります。その時は、キャスターが情報カメラに映される波の状況を事細かに説明しながら、避難を呼びかけていました。波の状況を実際に目で見ることで、より危機感を感じたことを鮮明に覚えています。このように、報道の多くの現場で使用される情報カメラですが、どのように運用されているのでしょうか?
■「情報カメラ」の運用
各地に設置されている情報カメラは、下の写真のリモートコントローラー1つですべて遠隔操作出来るようになっています。
カメラの映像は光回線などで日本テレビに伝送されてきます。一方、カメラの制御には電話回線が使用されているため、映像信号との遅延が起きることもあります。そのため、制御には遅延が少ない安定した伝送システムが必要となるため、場所によっては映像も電話回線やIP回線で伝送される場合もあります。また、報道フロアでは各地の情報カメラから送られてくる映像を常に収録しています。このシステムにより、地震発生の瞬間を映像で捉えることができ、実際に揺れている現場の様子をすぐに放送することができます。
情報カメラの運用の流れ
日テレニュース24では、生放送での情報カメラの操作を新人に任されることがあります。生放送中のカメラ操作は「失敗できないプレッシャー」で緊張してしまい、手に汗握ります! 気象コーナーでは、ただ単に空の映像を見せるだけではありません。雨が降っていれば傘を差す人や、ライトに照らされる雨粒を撮影し、雨であることが分かりやすい画作りが必要となります。このように、「視聴者に何を伝えたいかを考え」、意味のあるカメラワークをしなければなりませんが、自分で考えて自由に操作を任せてもらえるので、責任も大きいですがやりがいも大きいです。
情報カメラを操作する中で、画作りやカメラワークについて先輩方からアドバイスをたくさん受けました。カメラ志望である私にとって、この情報カメラの操作は日々勉強になることばかりです。
■1年間を振り返って
2016年度NiTRo 新入社員8名は入社してから1年が経とうとしています。この1年は、社会人となり、新しい世界へと歩み出した第一歩です。右も左も分からなかった私達ですが、少しでも何かを得ることが出来たと思います。そこで、自分がどう成長出来たのか、同期の皆にこの1年間を振り返ってもらいました。そして一緒に働いていた中で、一人一人に対して私が感じたことを僭越ながら紹介したいと思います。
寺井はニュースを見ることが好きで、報道の生放送に携わったこの8か月間は活き活きしていました。また、常に技術の勉強をしており、機材や技術が好きなことがひしひしと伝わってきました。好きなことをとことん突き詰め、没頭できる男です。
鈴木は、機材トラブルが起こったときに自分から素早く解決しようとする姿勢が印象的です。対応の仕方なども率先して同期全員に分かりやすく伝えてくれました。時間に対して徹底しようとする意識がその素早い姿勢に繋がっているのだと感じました。
新堀は、少ない時間を有効活用しながら資格の勉強をしていました。そして、びっしりと過去問を解いたノートを見せてもらったときは、ただただ驚いてしまいました。社会人1年目からしっかりと勉強し目標を達成できた経験は、今後の仕事にも活きてくるはずです。
篠原は、自分の志望分野以外も積極的に学んでいました。音声についてはブームを振る練習をし、マスターについては、休日にも関わらず、新マスター運用の研修にも参加していました。また、カメラケーブルを巻く練習をする姿も見ました。
放送の流れを幅広く見ることが出来るこの現場の特徴を1番理解して、努力していたのが篠原でした。
矢嶋は、ミスが少なく仕事を正確にこなしている印象です。「曖昧さをそのままにしない」を実践していたからだと思います。そして矢嶋は、現場の先輩方ともたくさんコミュニケーションを取っていました。コミュニケーションを取ることで、多くのことを吸収できる状況を自ら作り出せる人であると感じました。
古森が勤務時間外もスタジオに残り、カメラ練習や番組見学をしている姿を何度も見ました。デイリープラネットのカメラを任せてもらえたのも、先輩方にその真面目な部分を認められたからだと思います。この8か月間、古森は私にとって、自分も頑張らなければいけないと刺激を与え続けてくれた同期でした。
小川は、チームワークで最も必要となる人とコミュニケーションを取れる力を持っていると思います。元気に明るく、先輩方にも臆せずに会話している姿をたくさん見ました。今後の現場でも、人と人との繋がりをしっかりと持ち、同期の中では最年少ですが逞しく仕事をしていけると思います。
■最後に
放送の根幹である報道に携わり、1年目の私にとって全てが、良い経験であり勉強になることばかりでした。特に、生放送番組「デイリープラネット」のカメラをやらせて頂けたことは印象深いです。生放送のオペレートの緊張感は想像以上で、生放送終了後は毎度反省しては自分の実力が足りないことを痛感しました。そして、技術を向上させたい気持ちが大切であると学びました。
また、同期全員が同じ現場で働けたことで、この先もお互いに切磋琢磨できる関係となれました。この4月から2年目となり、新たな部署に配属となると思いますが、これまで以上に責任感を持ち、精進していきます。
2016年度NiTRo新入社員8名を温かく見守っていただけたらと思います。1年間ありがとうございました!
そして、これからもよろしくお願いします!!
筆者 金子紘之
2016年度新入社員リポート その7 | Freshman's Report2017 Vol.1 |