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2016年度新入社員 報道スタジオリポート その7

2017.02.15 制作技術

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2月に入り、立春を過ぎてもまだまだ肌寒い日々が続いておりますが、時には春を感じさせる暖かな陽射しが降り注ぎます。新入社員現場リポートも残すところあと2回になります。第7回は、音声志望の小川が担当いたします。

2017年もまだ1カ月半ほどしか経っておりませんが、「日テレNEWS24」ではすでに数えきれないほどのニュースを皆様に届けてまいりました。
そこで今回は、前回の新入社員現場リポートで取り上げた、「ブレイキングニュース」に関する、同時通訳と呼ばれる技術について、1月上旬にワシントンDCで行われた、アメリカ合衆国の大統領就任を目前に控えたトランプ氏の会見を例にリポートいたします。


■「同時通訳(同通)」とは

同時通訳とは、異言語を聞きながらほぼ同時に自国語に翻訳していく作業のことをいいます。そのため、かなりの集中力と精神力を要します。
今回はトランプ氏の話す英語を私たちの自国語である日本語に翻訳します。記者会見はあらかじめ長時間になると見込まれたため、同時通訳される方(以下、通訳さん)は、約10分交代の2名体制で進んでいきました。
アナウンスブース(以下、アナブース)は報道NEWS2サブと同様、現在は設備更新中のため、仮設のアナブースで行っています。本番中は、少しの音も気になる程の静かな空間で、通訳さんの集中力と緊張感がひしひしと伝わってきて、初めて生で見た同時通訳に感動するのと同時に圧倒されました。

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■SKYサブまでの同通運用の仕組み

ワシントンDCから光回線で送られてきた信号もしくは伝送されてきた素材は、5F報道フロアで映像と音声に分離され、5Fにあるアナブースに送られてきます。通訳さんはその音をヘッドフォンで聞きながらアナブース内で同時に日本語に訳し、席の横にある音声卓でLチャンネル【ワシントンDCの音声(英語)+同時通訳(日本語)】とRチャンネル【ワシントンの音声のみ(英語)】の2種類の音声を作ります。それを再度映像と音声を混ぜ、光回線で15FのSKYサブに送り、放送されます。

ちなみに映像と音声を分けることをDMUX(デマックス)、映像と音声を混ぜることをMUX(マックス)と呼んでいます。

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■アナブースのミキサーが気を付けていること

・仮設アナブース内では日テレNEWS24のOAが見られないため、現場の映像音声を見聞きしながら慎重にミックスしています。
・アナブースから15Fに送る音声は、異言語を強調すると内容が伝わりづらく、逆に自国語を強調すると臨場感が伝わりません。異言語と自国語のバランスが難しく、レベルはもちろん、音質も聞き取りやすいようにしっかり調整しています。
・通訳さんがヘッドフォンの音を聞き取りづらそうにしていたら現場の音を上げるなどの対応を行います。ミックスばかりに気を取られないようにしながら、周りにも常に気を配ることが大切です。


このように、いくつもの注意点があり、やはり通訳さんが目の前でしゃべる生の現場であるということ、演説や記者会見など長時間となる中で、緊張感を保ち続け、一切気を抜くことができない現場なんだなぁと改めて思いました。


■最後に

この日テレNEWS24に携わるようになり、世界の情勢を最前線で知ることができ、知識が増えたことを嬉しく感じます。中でもブレイキングニュースの緊張感は「報道の現場にいること」を実感し、気持ちが引き締まります。更新工事完了までの残りわずかな時間も精一杯頑張りたいと思います!

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筆者


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