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山岳班 雪中泊訓練!

2016.04.28 制作技術

日本テレビで「登山」というと、過去には、チョモランマ山頂からの生中継(1988年)、世界の果てまでイッテQ!の登山プロジェクトなどがあり、それぞれNiTRoの先輩たちが活躍されています。

実は、日本テレビ報道局にも山岳班があり、有事の取材や登山家の密着取材などで山へ登ります。

山岳取材はいつ発生するかわかりませんので、報道では定期的に計画を立て山岳訓練をおこなっています。
今回は、雪洞の中でのビバーク、雪崩に遭遇した時の脱出救助方法などを、山岳ガイドの指導のもと

「北八ヶ岳連峰の天狗岳」で3月下旬に実施した冬山訓練の様子を、3年目VEの私が現場リポートします。

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このような訓練は、安全に取材をおこなうためには必要不可欠なもので、どんな大スクープを撮ることよりも、

自分たちで自分たちの身を守る判断をしなければいけません。

今回の訓練も山岳ガイドと相談しながら何度も計画を練り直し、何重にも安全対策を講じて出発しました。

先ずは、山岳班6人(カメラマン3名、VE2名、ディレクター1名)、山岳ガイド2人の計8人で、1人約20kgの荷物(撮影機材・伝送機材・水・非常食)を背負い登っていきます。

みんな体力には自信はあったものの登るうちに自然と口数は少なくなり、雪景色の中を汗だくになりながらも中腹のテント設営地にたどり着くと、休む間もなくテント設営に取りかかりました。

気がつくと日が沈み、気温がぐっと下がり辺りは真っ暗に。きれいな星空も寒くて長時間は見ていられず、テントで暖をとりながら食事をして就寝。


翌朝、寒さとテントの寝心地の悪さで目を覚まし、2,645.8mの天狗岳頂上を目指し8時に出発。

強風の中、ロープで安全を確保しながら登っていきます。急傾斜の雪道や、足場の悪い岩場を進みながら、もしこれが有事だったら...

「安全に取材はできるのか?」「通信環境は?」「素材はどうやって送るのか?」などの様々な状況を想定しながら登りました。


そして11時、ようやく山頂へ。

頂上にたどり着いた達成感に浸りながらも、本社と簡易中継のテスト(IP伝送)を無事終了。

風が強く天候が悪化しそうだったので頂上付近での行程を変更してテントまで戻り、近くの斜面を利用して「滑落した場合」、「雪崩で埋まってしまった場合」の対処訓練を行いました。

雪山は経験してみると想像以上に恐く、遭難した場合の対処方法よりも、遭難しないための知識を身に付けなければと痛感しました。

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一連の訓練を終え、テントを撤収し、登りと同じ行程を一気に下りきって最初に思ったことは「しんどかったぁ...」でした。しかし、次に頭に浮かんできたのは「また登りたい!」という感情でした。
冬山は、普段の取材現場とは違い、出来ないことが沢山あり、苦労することばかりでした。しかし、それ以上に山から見える景色は言葉で表すことができないほど綺麗でした。

山岳班としては、山での有事に備えると共に、このきれいな景色を視聴者へ届けるために訓練を怠りません。


そして、私自身はカメラマンへ"登る"ための訓練に励みます。

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筆者