1月9日(土)後楽園ホール。
日本テレビの超人気番組「笑点」の収録日。
でもこの日の後楽園ホールは、いつもとちょっと違う雰囲気に包まれていました。
ムムっ、カメラ台数が3台多い!それも妙に武骨でデカい!
やたらと人が多い!それもどう見ても現場技術者ではない、キレイだし偉そうだ。
そう、この日は日テレ初、そして地上波レギュラーの"番組収録"という点では
日本初!であり、おそらく世界初!!の 「笑点8Kスペシャル」の収録が行われたのでした。
そもそも8Kとは...?
解像度 横7,680×横4,320、1秒間60コマ以上の情報量をもつ映像フォーマット。
図のように、今の地上波HD放送の16倍高画質な次世代放送規格のことです。
なんで「笑点」なの...?
「笑点」は今年で50周年!その記念という意味からも、
最新技術での番組創りに挑戦していただけることとなりました。
地上波では放送されない 8Kオリジナル番組。
「歌丸師匠・落語」「8K記念大喜利」の二本立てです。
実は「笑点」、多くの番組が白黒放送であった時代にカラー放送で始まり、
日本テレビで初期にステレオ放送を採用し、
デジタルVTRでの収録にも初期に挑戦していたとのこと。
「笑点」と最新技術8Kの出会いは、もしかすると"必然"だったのかも知れません。
さて、8K用に調達されたカメラは3台。収録機も3台。
いずれも次世代放送推進フォーラム(以下、NexTV-F)所有のものです。
そもそもこの企画は、NexTV-Fの8Kコンテンツ募集に日本テレビが応募し、
採択されたもの。なので、これらの機材は無償で使うことができるのです。
3台の内訳は、池上通信機SHV-8000が2台+ソニーF65が1台。
それぞれ、パナソニックAJ-Z03002台、ソニーSR-R4 1台の収録機に対応しています。
5tトラック(OB-X中継車の支援車)の中に8K収録基地を組み上げ、
そこでディレクティング、カメラ調整のほか、
普段HD撮影では行わない遠隔フォーカス確認を行いました。
世の中にはまだ8Kモニターはほとんど存在しないため、
画のチェックは4Kモニターで運用。
想定はしていましたが、やはりフォーカスが"超"シビアなのと、
8K専用ズームレンズがあまり寄り引きできないため、カメラワークにはかなり苦労しました。
また、パナソニックのレコーダーは写真のように非常に大型で、
収録メディアはP2カードという名刺大のものが、カメラ一台につきなんと17枚!
ファイルサイズも1時間で1TBとこれまた大きく、
ポスプロ作業には膨大な時間と手間がかかることになります。
音声は5.1chサラウンドにする為、
マイク位置や本数・種類などの綿密なテスト収録を事前に行い、
MAでのシミュレーションを経て本番に臨みました。
スポーツ番組では数多くの実績がありますが、
今回のような"小屋もの"ではこれも初挑戦。
MA作業にて臨場感のある音を目指しています。
とまあ、このような撮影・収録での苦労と引き換えに...
もの凄く高精細な映像が得られました。
なんと歌丸師匠の目に映る照明の一つ一つまでわかるほど。
8Kの実力を思い知らされました。
このあと、またまた未知の世界である8K編集作業に入り、完成は3月初頭の予定です。
見たい、が世界を変えていく。
NiTRoはこれからも、さまざまな技術にチャレンジしていきます。