新中継車=OB-Xは、これまでの多くの中継車と違って、
ディレクターと技術スペースの車内配置
(多くの場合は制作スペースが前部・技術スペースが後部)を
逆に発想・提案した為、システム・架装メーカーさんと完成イメージを共有すべく、
なんと模型を作ってイメージ作りからスタートしました!
特に、NiTRoではディレクター自身がスイッチャーを兼ねるスポーツ中継に多く関わる為、
TD(総合責任者)である私は、何処でも手が届く、目が届く空間作りを重視しました!
↑室内空間検証 ↑拡幅全体検証 ↑デザイン含トータル検証
そしてこれらを基に、月1回ペースでメーカーさんとの会議がスタート!
車両面では心配していた重量バランス、
発電機の騒音・振動もクリアーになりそうな段階で、
1点だけ問題が!
中継車には出入口での雨よけ用に、
キャンピングカーでよく見かける天幕を付けますが、
メーカーさん曰く「屋根スペースの関係で一部付けられません!」
実は中継車の屋根の上というのは、エアコンの室外機や各種アンテナの設備など、
いろいろなものが載せられているのです。
しかしそこは自他ともに認める業界屈指の雨男である私!
簡単に引き下がる事はできません!
「キャンプで使うパラソルを付けられないか?」
「そんなの風で飛んで危険です!」
「万が一、扉内に雨が吹き込まないよう、防水カーテンが付けられないか?」
「バスルームのシャワーカーテンなんかどうでしょう?」
こんな滑稽な会話が真顔で繰り返されました!
肝心の映像・音声システム会議より長いと思えるほど・・(笑)
そして、ようやく落ち着いた結果がこの形!
天高く突出した鳥居のようなスタイル!
(高さ制限がある場所では、取り外す事が可能です!)
このこだわりを象徴するかのように、
車両立会検査(車両がこれで問題ないか?検査する作業)の日には、
予定どおり?の雨模様!
本来ならば富士山がくっきり見えるはずが・・
OB-Xの「X(エックス)」は、未知なる可能性を託して命名しており、
普段のレギュラー業務を大切にしつつ、大規模中継に対応できるよう様々な汎用性を考慮しています。
素材モニターも海外中継車では既に多用されているマルチビジョン方式を採用!
番組に応じたレイアウトが構築できます。
汎用性は巷で騒がしくなってきた4Kもその表れ!
OB-X中継車は機材を増設すれば4K対応可能となっています!
写真は、実際の8/30 東京ドーム 巨人vs中日 4K生中継【スカパー!4K総合】OB-X中継車内の様子です。
このように中継車は、スタッフの経験・こだわりなどをベースに、
使っていただく"顧客"のニーズを反映した、世界に1台だけの車に作り上げられるのです!
筆者