NiTRoでは様々な映像コンテンツを手掛けており、
今回は、三重県津市にある全天周ドーム、岡三デジタルドームシアター「神楽洞夢」の
上映コンテンツを日テレアックスオンから依頼され、技術協力をしました。
このコンテンツは、昨年の「ベイズン&レンジの奇跡」
(アメリカ南西部にある独特な地質を持つ地域)に続く第2弾で、
「青と緑が融け合う神秘の国パラオ」と題して撮影を行いました。
今回力を入れた点は主に2つで、
① 全天周水中4Kフル動画撮影を可能にする
② 前回(アメリカ)よりも画質を上げる という点です。
一つ目の「全天周水中4Kフル動画」は水中ということで
事前のテストにかなりの時間を取られました。
機材選定(水中で負担を軽減するため、なるべく小型で操作性の良いもの)、
撮影用水中ハウジングへの実装や長時間撮影できるよう電源周りの改修などのハード面から、
水中でどのように撮ればドームで見栄えが良くなるのか等のテクニカル面も・・
結果、Blackmagic ProductionCamera 4Kを使用することに。
二つ目の「画質を上げる」点に関して、
こちらも機材選定、テストを繰り返し
RED EPIC DRAGON(6K相当の画素を持つカメラ)を使用することに決定。
これにより前回より計算値上で1.5倍の画素数増となり画質向上につながりました。
このように場所、シーンで機材を使い分けることで、
撮影現場での負担を少なく、画質向上という両得を得ることが可能になりました。
数多くの体制をとって現地に乗り込みますが、トラブルはつきもの。
水中用ビューファインダーが浸水により使用不可、などの機材的トラブルから、
波が荒れる、天候が悪く水中視界不良などの回避できない状況も多かったです。
それでも現地ガイドさんやカメラマンたちの粘りや祈りもあり、
見ごたえのある数多くの映像を撮影。
陸上ではジップラインというワイヤーに滑車をつけて滑るアトラクションに
DRAGON手持ちで撮影を試みますが、なかなか上手くいかずリテイクを繰り返しました。
気温30度近い中、急こう配な悪路を上ってくるカメラマンもバテ気味に。(それはそうだ)
上空からの撮影では、ドアを特別に外したヘリコプターを使用。
非常に上手い&撮影のことが分かっている操縦士のおかげで
「ザ・パラオ」という映像を収めることができました。
また今回もタイムラプス撮影を多数行いました。
変わりゆく空や海の変化を表現でき、
肉眼では見ることのできない夜空は星も映像表現できる手法です。
撮影に時間がかかる(星空を1秒の動画とするには少なくても15分の撮影が必要)、
露光の管理が難しい、などありますが、
経験により的確な設定を行い印象に残る映像としてカメラに収めました。
今回の撮影では「全天周(水中)(陸上)(タイムラプス)」
「デジタルサイネージ用」「メイキング用」と先に書いた以外にも
数多くのカメラ、オフライン用収録機が回っていました。
4K、6Kの大容量データのためメディア一つ当たりの収録できる時間が短く、
SSD480GBx3枚、RED-SSD256GBx4枚を1日ですべて使い切ってしまい、
翌日の収録を行うためにはHDDなどにコピーしてメディアを空けないといけません。
この作業も一苦労で、
「正」「副」に2重コピーをすべてに行うため、
PCを5台駆使しても数時間おきに起きて状況確認、
次のメディアコピーを繰り返し、翌朝を迎える毎日でした。
色々な苦労はありましたが無事に撮影も終え、帰国。
2週間という長期ロケでしたが非常に短く感じられました。
今回は技術も制作も限られた人数でのロケでしたが、
信頼関係と技術力を兼ね備えたNiTRoだからこそ的確なニーズに応えられたと思います!
カメラマン&ディレクター&筆者(右)
「青と緑が融け合う神秘の国パラオ」
上映場所:三重県津市中央 5-20 岡三証券グループ津ビル 4F
岡三デジタルドームシアター「神楽洞夢」
上映スケジュール:4月30日(木)~ 9月24日(木)
毎週木曜日16時~(祝日・年末年始は休館)
詳しくは: http://www.kagura-dome.jp/ まで
協力:岡三証券グループ、日本科学技術振興財団、西華デジタルイメージ、ビデオサービス