日本テレビタワー19階にはNiTRoが運営するポストプロダクション、「Shiodome19Box」があります。Shiodome19Boxは"シオドメ・ジューク・ボックス"と読みますが、この名称はタワーの19階にあることと、ジュークボックスのように様々なエンターティンメントを生み出す拠点となりたいという気持ちを込めて付けられました。
今回はNiTRo入社6年目、ポスプロ技術部編集担当の桑原が、Shiodome19Boxの新しいノンリニア編集室をご紹介いたします。
■ リニア編集とノンリニア編集の違い
まずはリニア編集とノンリニア編集の違いについておさらいします。
リニア編集とはテープなどに収録された映像音声をリアルタイムで編集をかける方法で、基本的にはテープからテープへのダビング編集のことを指します。もう一方のノンリニア編集とはコンピューターに動画を取り込んでパソコン上で編集作業を行い、最後に収録媒体へ記録する方法です。リニア編集とノンリニア編集はどちらも編集のスタンスの違いはありますが、テロップエフェクトの装飾や映像の加工など全体の流れはほぼ同じです。
■ 新たに出来たノンリニア編集室24stと25st
Shiodome19Boxでは開業以来、リニア編集室のみが稼働していましたが、このたび新たにノンリニア編集室として24st(スタジオの略)、25stの2室ができました。NiTRoの中では最も新しい編集室です。主にこの二部屋では情報番組・ミニ番組・スポーツ中継のサブ上げ・特番などで使われています。
24st | 25st |
■ ノンリニア編集ソフト「EDIUS」
編集と言われるとまず初めに思いつくのは、映像を繋げるカット編集だと思いますが、映像を繋げることだけが編集の業務ではないのです。文字を入れたり、映画風に映像を加工したりするのも編集作業で行われます。NiTRoのノンリニア編集には、アメリカのグラスバレー社製のEDIUS(エディウス)という編集ソフトをメインとして使用しています。
今回導入した最新のEDIUSには今までにはなかった「プラグインブリッジ」という機能が追加されました。「プラグインブリッジ」とは映像加工ソフト「Adobe After effects」などにあるプラグインをEDIUS上で使えるようになる機能で、映画などのCG処理でよく使われる「Sapphire(サファイア)」というプラグインをEDIUSで使えるようにすることができます。
SapphireのCG加工画面 |
プラグインとは編集ソフトに追加して新たな機能や効果を付加することができる"追加ソフトウェア"のことです。これらのプラグインを使用することで今まではなかなか面倒だった映像の加工や、フレアを用いたテロップのエフェクトなど幅広い効果をつけることが可能になりました。
また「トラッキング」という機能も新しく追加されました。こちらは主に映像のモザイク処理などに多く使われる機能です。モザイク処理する部分が画面内で細かく移動する場合、従来は処理をするターゲットを手動で追いかけなければなりませんでした。実はこの作業、ターゲットの動きによっては非常に時間が掛かり大変な労力となります。
トラッキング機能を使うことによって、画面全体の輝度や明度差などを自動で検出し、人の顔や車などを自動で追ってくれます。このお陰で作業時間が大幅に短縮できますので、今まで編集でモザイク処理を行ってきた者からすると革命的な機能だと思いました。
■ 最後に
今まで私はリニア編集を主体として業務に取り組んできましたが、今回の新しく出来た24st・25stのノンリニア編集では今まで自分の中で痒い所に手が届かなかった加工やエフェクトが可能になりました。まだまだノンリニア編集は不慣れなところも多く、日々バージョンアップしていく世界は難しいことも多いですが、それを覚え、仕事に活かして達成できた時の喜びは大きいです。
筆者 |