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長寿番組を支える編集を次世代に繋ぐ

2018.03.20 ポスプロ技術

みなさん、日本テレビの長寿番組と言ったら何を思い浮かべますか?
「NNNドキュメント」「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「所さんの目がテン!」「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」などなど...20年以上続いている番組は数多くあります。その中でも50年以上の歴史を持つ番組が「笑点」です。日本テレビの番組内では「キユーピー3分クッキング」に次いで、長寿番組第2位なんだとか...。
なぜ笑点は長く続いてきたのか。今回は私が現場で感じた「番組が長く続く理由」を編集の視点からお伝えします。

■笑点らしさ

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笑点の良さってなんでしょう?
私は「変わらないこと」だと思います。
毎週日曜日の夕方にテレビをつけると流れてくるあの音楽、メンバーのいじり合いも50年以上変わっていません。それが視聴者にも"お約束"になって、今でも愛され続けているのだと思います。編集マンもその変わらない良さを守っていくために、「笑点らしさ」を大事にしています。
例えば「今のシーン面白いからリプレイでもう一回見せよう」というのは、普通のバラエティならよくありますが、笑点ではあり得ません。理由は、笑点らしくないから。笑点の良さである「寄席を見に来ている感じ」を壊さないためです。
お正月の笑点特番の編集ではいつもよりも多くのテロップを入れたり、お正月用に番組タイトルを作るのですが、そこでもよく「豪華だけど、笑点っぽい感じに」「そこまでやっちゃうと笑点っぽくなくなるよね」など「笑点らしさ」を追求した話をします。私もディレクターに意見を求められた時に「こっちの方が笑点らしい」と判断をすることがあります。長く続いてきた番組らしさを壊さないように気を使うのも編集の大事なことです。

 

■こんなところにも...

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  普段のオープニング画面には赤ちゃんのイラストはありません。
第一子が生まれた時の笑点スタッフの心遣いです。

林家三平さんの第一子が誕生した時、ディレクターから「オープニングのアニメーションの三平さんのところに赤ちゃんをいれてあげたい」と言われました。
制作時間は2時間ほどですが、放送されたのはたったの2秒!どれだけの人が気づいてくれたのでしょうか...?
でもいいんです。スタッフの方々の笑点メンバーに対する細かな気づかいを見ていると笑点への愛を感じて、「それならば、こちらも良いものを作りたい!」と感化されます。
そういった番組に対する思いが丁寧な番組づくり、ひいては視聴者から愛される番組へと繋がっているのだと感じました。

 

■編集マンの本当の仕事

編集マンとして番組を支えていくとはどういうことでしょうか?
視聴者が目を引く映像加工をすること? 番組らしさを壊さないこと? 番組のことを考えれば、全部正解だと思います。でも一番大事な仕事は「映像の技術的な基準を守ること」です。
最近ではパソコン一台あれば簡単に番組が作れ、動画投稿サイトではいろんな人が好きなように動画を投稿しています。実際、誰にでも編集できるのなら編集マンは必要ないのかもしれません。ですが、番組を電波にのせて放送するとなると、さまざまな基準が設けられます。「映像が明るすぎないか」「映像ノイズはないか」など、安全に放送するために編集マンはいます。映像の責任者として細心の注意を払って番組を作っていくこと。それが編集マンの仕事であり、編集マンとして番組を支えていくという事です。そうして事故なく放送できることが、番組を長く続けていくことにも繋がります。

 

■次の時代に繋いでいく

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  EDIUSというノンリニア編集ソフトを使用しています

私は入社してもうすぐ丸3年が経とうとしていますが、私が笑点の編集を先輩から引き継いだのは入社して1年半が経った頃でした。初めて先輩と笑点の編集に入った時、焦りと緊張でいっぱいいっぱいでしたが、制作スタッフが何も言わず見守っていてくれたのは先輩方が築き上げてきた信頼関係があったからだと思います。

NiTRoの編集マンなら大丈夫」まずはその信頼を裏切らないよう必死だったのを覚えています。
50年続いた番組を次は100年続く番組へと次の時代に繋いでいく。そのために私たちはしっかりと技術を受け継いで、これからも確実な技術力で長く愛される番組を支えていきます。

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仲のよい同期と筆者(左から2人目)