今回、私たちNiTRo編集マンは、9月7日から18日までの12日間にわたって開催される、「リオ2016パラリンピック競技大会」の大会開催中、連日『リオパラ2016ハイライト』として2時間のデイリーハイライトを生放送する「スカパー!」にハイライトを編集するため、東陽町にある「スカパー東京メディアセンター」に向かいました。
建物の中に入って玄関フロアのウッドデッキを進むと、奥にはパーティションで区切られた一画があります。そこが、リオ2016パラリンピックの編集スペース。
そこには限られたスペースに最小限のデッキや編集機など、4式の編集システムがセッティングされている編集ブースになっています。
編集ブースでは、各作業スペースの間に区切りはありません。つまり、音を遮断する壁が無いのです。そのため漏れる音声で隣の作業に迷惑をかけないよう、編集マンはイヤホンを装着しての作業となりました。
今回、使用する編集機はソニー製のBVE-700。
最近はファイルベースで編集するノンリニア編集機が増えていますが、この編集機はリニア専用です。一時代のニュース系編集機として主流であった機材ですが、今の時代、この編集機を触る機会も少なくなってしまいました。
まさに、昔の感覚を取り戻しながらの作業です。
まずは午前10時から、サブと呼ばれる副調整室で打ち合わせが始まります。
ここはスタジオ演出・収録・送出も兼ねる、いわば指令室。
サブの中にある機材で、私たち編集マンと密接な関係にあるのが「EVS」です。
EVSとはスポーツ中継やライブイベントの生放送ではおなじみのビデオサーバーです。"撮って出し"用として放送中にディスク収録を行い、"オフチューブ"と呼ばれる、現場に行かずにスタジオで画面を見ながら実況解説した中継素材を短い時間にまとめたり、現地から送られてくる素材を収録してテープに吐き出したりと、いろいろな役割を担っています。
サブでの打ち合わせ後、その日行われた様々な競技の中で、どの競技を編集しハイライトとして放送するかを決めます。編集マンは放送する競技を担当するディレクターと詳細に打ち合わせをします。
放送は毎日19時から21時まで2時間の生放送。
番組のコンセプトは「つなぐ」です。このテーマに沿った構成を決めて編集作業を始めます。
1日の作業内容は
・競技ハイライト ... 一つの競技につき、
1分30秒~8分程度に
編集する作業を4~5競技
・インサート ......... 30秒前後の映像を1~3本
・アバン ............... 30秒
・エンディング ...... 1分
これらを3名の編集マンで対応します。
生放送が終わり、翌日の準備などをしていると帰りは22時半~23時。一日の流れは、こんな感じです。
当初は「普段とは違う編集機」、「慣れない場所」、「初めて会うスタッフとの共同作業」に不安を抱きつつスタートしましたが、制作スタッフの協力で日々、業務のフローは改善され、編集作業もスムーズにできるようになりました。
最終日には、今回のリオ2016パラリンピックの喜びや悲しみ、4年後の東京オリンピック、パラリンピックに向けた意気込みなど、様々な名シーンを集め4分15秒のエンディング曲に気持ちを込めた渾身の映像を仕上げました。私たちNiTRo編集マンとディレクターが一丸となって、12日間にわたるこの番組で伝えてきた"熱い想い"を総括しました。
残念ながら今回の大会では、日本選手の金メダルを映像で伝えることができませんでしたが、2020年、東京の地で活躍するであろうアスリートの物語は伝えることができました。
このような番組に参加できたことは貴重な経験であり、今後に、さらに4年後につながっていくと思います。至福の時間でした。
筆者