いつもは日本テレビ内にて報道やスポーツの編集をしているCVセンターのスタッフも、4年に一度のビッグイベント「オリンピック」で、今回は日本を飛び出し、地球の裏側リオデジャネイロに出張し、編集作業を行いました。
「編集」と言うと部屋にこもって地味に作業をやっているイメージがつきまといますが、今回は違います。未知なる地で様々な体験をしてきました。
■ハイブリッドな作業 「収録」
現地での任務は「収録」「伝送」「編集」「送出」の4つがメインとなります。毎日大量に送られてくる競技映像をXDCAMディスクにせっせと収録していきます。大変な作業に見えますが、裏を返せば、ここは「すべての競技を観戦できる特等席」です。日本の誰よりも多くのオリンピック競技を観戦できてしまうおいしい場所です。
もちろん仕事ですよ、これは(笑)
さて、ここで大活躍するのが「ポスト・イット(R)」、いわゆる付箋です。「このディスクにはどこの回線で、何の競技を、何時から何時まで収録するか」という内容をすばやく記入していきます。収録はデジタルでありながら、メモは手書きというアナログな手法。
相反する組み合わせのようですが、これが一番わかりやすくしかも正確。特に75mm×75mmサイズの付箋はXDCAMのケースにジャストサイズ!これこそCV編集マンが編み出したデジタルとアナログの「ハイブリッドな技??」
オリンピック終了時には1000枚以上になったディスク。感動の瞬間をしっかり収録しました。
■遠距離恋愛を体験できる!?「伝送」
日本テレビのカメラマンが撮影してきた映像を日本に送る作業、「伝送」も私たちの仕事です。
映像を送る際、日本にいるスタッフとやりとりに使用するのが「連絡線」と呼ばれる直通の電話のようなものです。実はわたくしはこれまで、この連絡線をほとんど使ったことがありませんでした。
そのため初めて日本と連絡を取り合う時の
様子はというと、「えーーーーっ・・・・・・」
(どうやって話かければ良いか戸惑い沈黙)
「ハロー、ハロー、フロム・リオ・・・」 ※実際はこんな風に呼びかけません(笑)
この作業、慣れれば問題ないのですが顔の見えない相手と話すのは結構緊張しました。
オリンピック終盤になると呼びかけも慣れてしまい最初に感じた「初恋の相手と話す時のドキドキ感?」のような感覚は薄れてしまいました。それはそれで残念でしたが、とても良い経験となりました。
何よりも日本と地球の裏側リオの人間がボタン一つで会話できる。技術の進化ってすごいなと、あらためて感じる瞬間でした。
■メダリスト誕生の瞬間を演出する「編集」
メダリストが誕生すると、その日のうちに選手をスタジオに招きいれて、お話を聞きます。
「さっきまで試合をしていた選手を目の前で見られる!」ワクワクしたいところですが・・・
はい、お仕事の時間です。
メダルを取った瞬間、勝利の雄叫び、涙の表彰式、感動のシーンを次々と編集していきます。リオデジャネイロのスタジオでメダリストの後ろに設置されたモニタに流れる映像をたくさん作りました。
今回は過去最多41個のメダルを獲得、まさに嬉しい悲鳴でした。
■1人3役? マルチプレイヤーに変身する「送出」
編集が終わると次は「送出」、ディレクターからの指示をインターカム(通称インカム)で聞きながら、必要な映像をタイミングよく再生するお仕事です。簡単に思えますが、実はこの間にも「収録」や「伝送」といった作業が同時並行しています。
そのため右耳でディレクターの話を聞いていると、左耳からは「収録」のお願いがくる、さらに「伝送」のため本社とのやりとりもあります。こうなると・・・「あれっ、ディレクターから、なんか言われた?収録スタートしなければ!おっと、伝送の連絡もあった」と、体はあまり動かしていないのですが毎回疲労困憊。現地で作業するCVセンタースタッフは一人何役もこなせるマルチプレイヤーに徹しなければなりません。寿命が縮むくらい緊張する作業ですが、やりがいのある仕事です。本当にちょっと老けたかも(笑)
しかし、試合を終えたばかりの選手たちを目の前で見られたのは感動の一言。
日本柔道復活を象徴するメダルラッシュのなか、銅メダルで悔しそうな表情を見せる選手たち、スタジオに競歩スタイルで登場する選手やサムライポーズを見せる選手でスタジオ中が大盛り上がり、
そして、レスリング吉田選手の銀メダル姿・・・。
4年間の集大成を見せてくれた選手たちと同じ現地リオデジャネイロで、喜びや悲しみを共有できたこと。これは何物にも代えがたい体験となりました。
■楽しい!?リオ生活をご紹介
ブラジルと言えば「青い海」「白い砂浜」そして「美女たち」。
そんなイメージをたずさえて初の南米へ飛び立った私たち。しかし現実はそう甘くありませんでした・・・。
【ケース1】
ある日、仕事終わりにシャワーを浴びていると、なにやら下から「ゴボゴボゴボ・・・」と音が聞こえてきました。
よく見るとシャワーの排水が流れていない様子。
「まぁー海外ではよくあるよね」
とたかをくくっていると、
「んっ!?なんか臭うな・・・
というか逆流してきている!?」
その後恐ろしい異臭が部屋中に・・・。
【ケース2】
ブラジルといえば、「シュラスコ」。おいしい肉が食べられると期待していましたが・・・。
確かに肉はおいしいです。しかし次の日も肉、その次の日も肉、さらに肉肉肉・・・と。
さすが飽きます。
さらにサラダは栄養を根こそぎ抜かれたようなレタス、「食品サンプル」みたいな色でした。
右の写真の料理はこれで約30レアル(日本円で約900円)。高い!これも思い出ですね。
■大変な経験はクセになる!?
地球の裏側で奮闘したオリンピック選手たち。その活躍を日本に届ける任務についた40日間は長いようで短く、あっという間に終わりました。
現地で競技の盛り上がりを体感し、メダリスト誕生の瞬間に立ち会える楽しい時もあれば、録り逃しのできない収録や9時間にもわたる中継業務など、過酷な時もありました。
次回は東京オリンピック、外国の生活を楽しむことはできませんが、感動は今回のリオ以上になるのは間違いないという期待で今から楽しみです。
オリンピックの「酸いも甘いも」を経験したことで変なクセがついたかもしれません。