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8K編集、備えあれば憂いなし!

2016.03.25 ポスプロ技術

現場リポートNo.49で「笑点 8Kスペシャル」の収録の様子を報告しましたが、今回はそのポスプロ作業編です。

4Kに関しては、私たちNiTRoポスプロチームは手前味噌ながら52タイトル、75本(20162月末現在)と結構な数のコンテンツを編集してきました。しかし、8Kなるものは全くの未知数であり、そもそも8K用の機材を何ひとつ持ち合わせていません。必然的に8Kのポスプロ作業は、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)所有の機材を受託運用しているNHKメディアテクノロジー(NHK-MT)さんの編集室で行うことになります。

いったいどのような機材があり、どのようなワークフローなのか?

全く想像がつかないため、まずはNHK-MTを見学。そこには馴染みのない機材が立ち並んでいました。

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そもそも
8Kって、どういう形式で納品すればいいの?

現場リポートNo.49 にもあったパナソニックのP2レコーダーで、17枚もの収録メディアに記録された信号"デュアルグリーン(DG)"をLTOに納めて納品するとのこと。考えてみるとDGを扱える編集機って、世界中探してもNHKNHK-MTにしか無いのではないでしょうか。

そんな馴染みのない、かつ恐ろしく膨大なデータを扱うには、シッカリ打合せを重ねて、可能な限り事前準備をして、揃えられるデータは極力自分達で作成して持ち込もう!という事になりました。






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さて、 「笑点」と言えば、誰もが知っている"あの"テーマ曲。そこに映るオープニングアニメ。





そのアニメは、当然のことながら
HDで制作されています。それを8Kに作り直す??...

そんな時間もお金もありませんでした。そこで、大活躍したのが動画変換オーサリングソフト!一般に知られている市販ソフトを使って、パラメータを細かく調整してエイヤ!っとアップコンバート。何度か試して具合の良いバランスを探ります。結果、ディレクターも大満足の8Kオープニングアニメが出来上がりました。

続いて8K編集でガイドとなる映像を作成します。HDプロキシデータを使用してオフライン編集。8K本編集での負荷を最小限にして、8K編集室では一切悩む事がないように完璧な完成尺に仕上げました。テロップも、8K解像度でフル画角の中に、場所や大きさを完璧にして作成し、そのままHDにリサイズして作業する。そうすれば8K編集では8K解像度のまま、合成すればガイド通りに完成するという訳です。

その他に音声も事前に完成させて持ち込む事にしました。完成させるコンテンツは5.1ch。収録時に、現場で5.1chを完成させることは現実的ではなかったため、MAで作り込めるよう各カメラに必要となる音声素材をバラで収録しました。3カメ合わせて計18chの音声を収録し、MAでジックリと5.1chに仕上げていきました。

[オフライン編集のEDL(編集データ)][ガイドとなるHD映像][8K用テロップ][MA済み5.1ch音声データ]

それらを事前に搬入し、編集初日、いざNHK-MTへ!

すでにコンフォームを終えていると聞いていたため、編集スタートでいきなり試写。

当たり前だが、テロップも音声もすでに一本化されていました。尺も完璧。あれ...?

あと、何やるんだっけ?


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収録に使用した カメラは池上通信機SHV-80002台、ソニーのF651台。やはり両者には色味の違いがあり、F65分のカラコレやシャープネスの処理を行ないました。修正したクリップを本編に差し込んで...。う~ん...、終わってしまった。

本編に要した時間は45分!8K編集には10日間の期間を押さえていましたが、編集初日で作業は終了。拍子抜けするくらい、あっさりと終わってしまいました。残る作業はNexTV-F納品用のLTO化。NHK-MTさん、引き続きよろしくお願いします!