私たち汐留日本テレビCVセンター内CV運用部では、
日々ニュース番組の編集業務を行っています。
ニュースの編集は、新鮮な素材を「スピーディー」に、
物事を俯瞰でとらえ「客観的」に、
中立の立場で「公平性」をもって作る事が重要です。
そして最も気をつけなければいけない事は、
このニュースで何を伝えたいかポイントを押さえ、
更にどの様な表現方法(編集)をするかと云う事です。
編集では選ぶカット(映像)によって、かなり印象が変わります。
CV運用部内でも
「このニュースはこういう風に編集したほうがもっと分かり易かったよ」
などご意見を頂く事が良くあります。
これは編集マン個々のセンスや経験、
大きく言うと人生観の違いで選ぶカット(映像)が変わるためのもので、
それぞれの感性によるところが多々あります。
CV運用部では若手教育の一環として
「報道編集勉強会」を年間3回ほど開催しています。
この「勉強会」はベテランと新人、若手が
同じ素材・同じ完成尺で実際に編集し比較・検討する会です。
通常の放送用を編集する場合は
ナレーション原稿と照らし合わせながら編集しますが、
この「勉強会」ではナレーション原稿無しで編集します。
制約を無くし、自由に編集し映像だけで
ニュースが伝わる様にする事が狙いです。
今回の素材は「小田原かまぼこ・ギネス記録に挑戦」です。
小田原に集まった約2000人が世界一長いかまぼこを作るイベントで、
見事ギネス記録に認定されました。
このニュースで伝えなくてはいけない事
・ギネス記録に挑戦するかまぼことは実際にどれくらいの長さなのか。
・挑戦は成功したのか。
その他はある程度、自由です。
・皆が楽しみながらイベントに参加したのか。
・大まじめにかまぼこを作ったのか。
・子供が多かったのか、大人が多かったのか。
・世界一長いかまぼこの迫力をどのように出すか。
・そもそもかまぼことはどのような手順で作るのか。
この辺りが編集マンの腕の見せ所になります。
各自編集が終了すると皆でプレビューし、意見交換をします。
新人にとっては緊張する瞬間かもしれませんが、
皆の前で「自分はこういう想いでこのカットを選択し編集しました!!」と
声を大にして自信を持って熱い思い、信念を語ることも大切な要素です。
この様なコミュニケーションの場としての役割も担っています。
新人若手の作品は、
・作る工程を淡々と表現しているが、"楽しさが伝わらない"
・広いカット(ロング映像)を使っていないため、"イベントの規模が伝わらない"
・中には、なんと冒頭にギネス記録に認定されたカットを使っているため、
"ネタばれになっている!!" (ダメではないが、編集としては面白味に欠けます。)
など、ベテランから様々な意見が次々と出ました。
ベテランの作品は、
・ギネス認定員のチェックしている様子を多めに入れて、
"記録がかかっているイベントであることを表現"している。
・参加者が"一致団結してかまぼこ作りをしている"様子が伺える。
・ギネス認定員が入念に最終チェックしている様子を
不安そうに見守る参加者を入れていて、"ドキドキ感がある"。
など、若手も感心することしきりでした。
しかし、ベテランも新人若手の作品をみて、
ある意味斬新さに刺激を受けたのは間違いありません。
同じ素材・同じ完成尺で編集をしても、
ベテランと新人若手とでは選ぶカットも違いますし、
同じカットを選んでいても長さが違うとまた印象が違ってきます。
ニュース編集などの映像編集は、正解が一つではありません。
編集する人により同じ素材でも十人十色、その中で「何を伝えたいのか」です。
私も新人の頃、先輩に日本テレビのニュースは勿論の事、
他局のニュース番組のOAをよく見ることも仕事の一つだと言われました。
色々なOAを見ることで「伝えなければならないこと」+α の表現方法を発見し、
そこから技術を盗み自分のものにする事が「成長への近道」だと思います。
一緒に悩む筆者