「メディア変換」とは、日本テレビの
"技術統括局 コンテンツ技術運用部 メディア変換"という部署のことで、
ここではNiTRoのスタッフ23人が業務をしています。
今回の現場リポートはこの部署の業務内容についてお話ししたいと思います。
「メディア変換」と一言で言っても、業務は多岐に渡ります。
「VTR業務」、「方式変換業務」、
「サブコン<副調整室>運用生放送」、
「ディレード編集・送出業務」、
「編集業務」、
「番組下見業務」
こんなに広範囲な業務を扱う部署は、他にはなかなかありません。
・VTR室(収録送出業務)
私達がVTR室と呼んでいる場所には、
日本テレビ技術規準で規定された放送用HD-VTR機器
(HDCAMSR、HDCAMなど)がたくさん並んでいます。
ここでの業務は、番組の保存収録,素材収録やダビング、
報道やエンターティメント系のサブリミナルチェックなどがあります。
・方式変換(メディア変換)
今は海外からのニュースや素材が毎日たくさん送られてきます。
そのため、世界各国のテレビ方式に対応した設備が整えられています。
ここでの業務は、
世界各国の方式から日本の放送で使用できる方式に変換する作業が主です。
例えば、・ヨーロッパ方式(PAL)から日・米方式(NTSC)への変換などです。
また日本国内での収録体制も様々となり、
業務用(DVC PRO HD、Digβ等)は勿論、
民生用メディア(DVD、HDV、Blu-ray等)などから、
放送用(HDCAM XD-CAM等)メディアへの変換作業や
USBメモリーやDVD-Rの動画形式のファイルから
放送用フォーマットへの変換業務も行なっています。
・サブコン(副調整室)業務
野球・サッカー中継はもちろんの事、
オリンピックや24時間テレビ内でのスポーツ企画、
日テレG+で放送されるアメリカンフットボールやモータースポーツ番組、
その他にもBS日テレでのスポーツ中継番組などを
リモートサブで運用しています。
リモートサブは、スタジオを持たないのが特徴で、
現場からの回線にVTRやスーパー、音楽、効果音などを足しこみ、
CMや提供を入れるタイミングを決めてOAをしています。
メディア変換スタッフは、映像を切り替える「スイッチャー」、
音声を扱う「ミキサー」、カメラの調整や映像を管理する「VE」、
技術部門を統括する「TD」、
サブ内にあるノンリニア(コンピューターを使用した映像音声編集方式)を使用した
撮って出し作業を行なう「ノンリニア編集」などを担当しています。
・ディレード編集・送出システム
ディレード編集・送出システムは、
主にスポーツ中継のディレード放送用
(リアルタイムよりも数分から数時間遅らせた放送)に使用されています。
ビデオディスクレコーダーを基本としたシステムで、
一般的なパソコン編集ソフトなどのような、さまざまなエフェクトは使えませんが、
放送をする上で最も重要である安定性を持ち、
収録中や編集中でも送出できる機能を持っています。
数時間前の映像・音声を編集して
サブコンに送出する作業の緊張感は筆し難いほどです。
無事にOAしたときの喜びは格別です。
・編集業務
オンライン編集室である「ED-ROOM」での編集作業も
メディア変換の仕事になります。
主な作業は、PRスポットやPRダイジェストなどのフォーマット編集です。
各番組が作ってきた番組PRを放送できる形にする編集作業を行なっています。
・下見室(番組下見業務)
「メディア変換」には、制作の方やスポンサーの方などが
OA前の番組の最終チェックを行なう下見室が5部屋あります。
この下見室用機材のオペレーションを行っています。
この部屋では番組の下見をするだけでなく、人の身体に影響を及ぼす
サブリミナル(画像のイメージを潜在意識下に植えつける事)や
写真撮影時のフラッシュなどを専用パソコンソフトを使用して
チェックする重要な作業もしています。
下見業務で気を付けている事として、
日本テレビで放送される番組には
日本テレビの技術規準(映像信号、音声信号等)が適用されるため、
ここでは、外部のプロダクションがその規準を満たした形で制作しているかなどを、
チェックをしながら作業をし技術的な納品検査をしています。
メディア変換の魅力
世界的なスポーツイベント、オリンピック、
サッカーワールドカップ、サッカークラブワールドカップ(CWC)、
野球のWBCなどの大掛かりな大会の時は、
時差の関係で作業時間が昼夜を問わないこともありますし、
放送を成功させる為のプレッシャーは更に大きいのですが、
とてもやりがいのある仕事で、放送終了後の酒豪のスタッフと飲むお酒は最高です。
制作、技術、回線をはじめ、様々な分野のスタッフが一体となり、
同じ目的に向かって協力し合うチームワーク、
何事にも代えがたい大きな番組作りの達成感を味わうことができる素敵な部署だと思います。
筆者